第41回中南勢地区春季大会 参加脚本

上演団体 三重高校演劇部

上演日時 2025年3月29日(土)

枠番3番〔大会1日目3校目〕

 

 

 

人生インターチェンジ

 

 

 

作:平山愛佳 

潤色:三重高校演劇部

2025年3月17日 第6稿

 

登場人物

三矢 名神(みつや ながみ)

四宮 てとら(しのみや てとら)

四宮 みはら(しのみや みはら)

※てとらとみはらは同じ役者が演じます。

 

1 8月21日夜 車の中

 

「ダリアマリア」が流れる中、幕開き

夜の車内。運転席にナガミ、助手席にテトラがいる。

テトラはノリノリ。

ナガミはテトラに気づく。

しばらく運転しているが、車をコンビニの駐車場に停める。

後ろのプロジェクターに夜のコンビニが映る。

ナガミ、スマホから流していた曲を止める。

 

テトラ    あ!

ナガミ   …お前、誰?

テトラ    お気に入りの曲だったのに?

ナガミ   無視すんなよ、お前誰だよ?

テトラ    ナガミ!

ナガミ   え?

テトラ    ナガミでしょ、いや、最初は三矢さんって言うべきかな?

ナガミ   え、どうして俺の名前を知ってんだよ?

テトラ    はじめまして、三矢ナガミさん。

ナガミ   (思わず)はい?

テトラ    わたくしは「四宮(しのみや)テトラ」と申します。

ナガミ   四宮?(思いつかない)

テトラ    私の事覚えてないですか?

ナガミ   え、君、知り合い、だったっけ?

 

            ナガミ、テトラの顔を見るが、心当たりなし。

 

ナガミ   …全然知らない。それよりお前、いつ俺の車に乗ったんだよ!

テトラ    三矢さん。

ナガミ   (思わず)はい。

テトラ    このたびは突然、お車に同乗させていただきまして、誠に申し訳ございませんでし

た。(深々と頭を下げる)

ナガミ   どういうこと?でも、出発した時には、誰も乗ってなかったよね。

テトラ    はい、途中から同乗させていいただきました。

ナガミ   え?(パニック)

テトラ    これもどうしても、あなたとお友達になりたかったからなんです。

ナガミ   どういうこと?

テトラ    まあ、普通は分かりませんよね。じゃあ、説明しますので、いったん外に出ていただけませんか?

ナガミ   え?なんで俺が車の外に出なくちゃいけないんだよ。

テトラ    まあ、だまされたと思って。

 

            ナガミ、半信半疑に、普通にドアを開けて車外に出る。

 

テトラ    見ててくださいね。

 

            テトラ、ドアを開けずに、すーっと車外に出る。

            驚くナガミ。

 

ナガミ   …え、今、何?車、すり抜けた?

テトラ    私、幽霊なんです。

ナガミ   え、え!(パニック)

 

            テトラ、困った顔でそれを見ている。

 

ナガミ   幽霊?

テトラ    はい。

ナガミ   ほんとに。

テトラ    はい、それが最も分かりやすい説明かと。

ナガミ   そんな…俺、今幽霊と話してんの?

テトラ    はい、っていうか、まあ、正確に言うと死んで四十九日(しじゅうくにち)までの死者の仮の姿というか   …。

ナガミ   ・・・でも、はっきり見えるぞ。

テトラ    姿が見える人は数十人に1人って言われます。

ナガミ   見えるって、声も聞こえるよ。

テトラ    声が聞こえる人はさらに少ないって言われてます。

ナガミ   じゃあ俺って。

テトラ    そう!あなたは、数百人に1人の霊能力者なんです!

ナガミ   ガーン。そういえば、葬式の時に死んだじいちゃんが見えてた!

テトラ    三矢さん!

ナガミ   はい。

テトラ    親しみをこめて、あなたのことを下の名前で呼んでもよろしいでしょうか?

ナガミ   よろしいって、どうして?

テトラ    お友達になりたいから。

ナガミ   え、幽霊が友達に?

テトラ    あなたのことをもっと知りたいので。

ナガミ   …そんな、でも…(ナガミためらう)

テトラ    ダメですか?

ナガミ   ダメって言うか…

テトラ    私って魅力ないですか?

ナガミ   いや、そういう問題じゃなくて

テトラ    私の同級生で、話ができる人はあなただけなんです。

ナガミ   え、同級生?

テトラ    だめでしょうかで?

ナガミ   微妙。

テトラ    そんな、お願いしますよ。

ナガミ   でもなあ、俺忙しいし。

テトラ    お邪魔にならないようにしますから。

テトラ    …じゃ、ちょっとだけなら。

テトラ    やったあ!ナガミさん、ありがとう!

 

            テトラ、ナガミの手を握る。

 

ナガミ   (手を振り払って)わっ、今、触ったぞ!なんで!

テトラ    驚きましたか?

ナガミ   驚いたのなんのって、お前本当に幽霊なのか。

テトラ    はい、私は「質量再生タイプ」なんで。

ナガミ   「質量再生タイプ」?

テトラ    そうです。私はこの世にあるものを触ることができるんです。

ナガミ   そんなことができるのか?

テトラ    はい。突然物が動いたりする心霊現象、って聴いたことありますか?

ナガミ   ポルターガイスト現象ってやつ?

テトラ    そうです。そういう時は質量再生タイプの幽霊が、ものを動かしてるんです。

ナガミ   ふーん。でも姿が見える俺にとっては、現実に人がいるのと変わらないぞ。

テトラ    でも、質量再生できるのは、短時間のみなんです。

ナガミ   そうなのか?

テトラ    はい、だから今の私を触ってみてください。

 

            テトラ、両手を差し出す。

            ナガミ、恐る恐るテトラを触ろうとするが、すり抜ける。

 

ナガミ   あ。

テトラ    お分かりいただけましたか。

ナガミ   そっか、やっぱり幽霊なんだ。

テトラ    はい。そしてあんまり「質量再生」を使うと、早く成仏しちゃうんです。

ナガミ   成仏?

テトラ    はい、向こうの世界に旅立つことです。

ナガミ   で、何日くらいこの世に幽霊としているんだ?

テトラ    普通は四十九日間です。でも質量再生タイプの場合は・・・。

         あっ、この辺りのことを話し出すと少し長くなるんですが、説明しますと…

ナガミ   ちょっと待て。俺、今から家に戻らなきゃいけないんだ。用事があるから。

テトラ    そうですか。では、私もおうちにお邪魔して、ご家族にあいさつとか。

ナガミ   え?

テトラ    これからお友達になる方ですし、あ、手土産忘れちゃったな。

ナガミ   ちょっと待て。

テトラ    ナガミさんちって焼肉屋さんですよね。お店の近くに住んでるんですか?(興味津々)

ナガミ   おい、話を聞けよ。お前、さっき邪魔にならないようにするっていったよな。

テトラ    はい。

ナガミ   テトラ、さんだったな。

テトラ    はい。

ナガミ   うちに来るのはやめてくれ。

テトラ    どうして?

ナガミ   迷惑だから。

 

音楽(「天水のユーロビート」)

コンビニの映像消える。

暗転

二人は次のシーンのベンチをセットして、元の車に戻って座る。

 

2 8月24日夕方 英会話塾前の路上         

 

映像:英会話塾の外観が映る。

ナガミが運転席、テトラが助手席に座っている。

ナガミ、車から出ていく妹を見送っている。

 

ナガミ   うん、頑張ってね。いってらっしゃい。

テトラ    ナガミさん?

ナガミ   何?

テトラ    妹さんいくつ?

ナガミ   10歳。

テトラ    何年生?

ナガミ   小学4年生。

テトラ    ずいぶん年離れてるんだね。

ナガミ   8つかな。

テトラ    妹さん、私が見えなくて良かったね。

ナガミ   見えたら大変だろ。

 

            クラクションがなる。

 

ナガミ   やべ、後ろに車来た。どっか行かなきゃ。

テトラ    よし、このままドライブだ!

ナガミ   やれやれ。

 

            ナガミ、ウインカーを左に出して、車を発進させる。

            英会話塾が消える。

 

テトラ    どこ行く?私、おしゃれなカフェとかいいなあ。

ナガミ   そんなとこで幽霊と話してたら、怪しいだろ。

テトラ    それもそうだ。(がっかり)

ナガミ   森林公園の駐車場にでも行くか。

テトラ    ちぇ。

ナガミ   何か言った?

テトラ    ううん。気を取り直して、レッツゴー!

           

            ナガミ、ため息。

            しばらく運転するナガミ。

 

テトラ    ナガミさん。

ナガミ   呼び捨てでいいよ。何?

テトラ    なんか曲かけてよ。

ナガミ   どんな曲?

テトラ    どんな曲が好き?

ナガミ   ボカロとかかな。

テトラ    じゃあ、それかけてよ。

ナガミ   運転中じゃ、スマホ触れないし。

テトラ    じゃあ、スマホ開けてくれたら、私かけますよ。

 

            ナガミ、スマホを指紋認証で開けて、テトラに渡す。

            テトラ、「質量再生」でスマホを受け取る。

 

ナガミ   俺のミックスリストに好きな曲入ってるから。

テトラ    これ?

 

            音楽「帝国少女」

            テトラ、スマホをどっかに置く。「質量再生オフ」

 

テトラ    これって?

ナガミ   R Sound Designの「帝国少女」。

テトラ    ナガミ、これ好きなんだ。

ナガミ   うん。

 

            「帝国少女」流れる。

 

テトラ    ナガミ。

ナガミ   何?

テトラ    どうして、この曲が好きなの?

ナガミ   都会を感じるから。

テトラ    「都会」?でも今走ってるここって田舎だよね。

ナガミ   うん。

テトラ    何か、違和感ない?

ナガミ   だから、いつか東京行きたいって思ってんだ。

テトラ    東京?

ナガミ   あの曲の背景、六本木ヒルズだろ。ほらYouTubeの。

テトラ    これ(スマホ見て)そうなの?

ナガミ   子どものころ一度だけ、東京連れて行ってもらったことがあってさ。親に。

その時、スカイツリーから見た夜景が忘れられなくてな。

テトラ    ふーん。

ナガミ   だから、東京に住んで、仕事持って、夜景の中を車で走りたい。

            それが俺の夢。

テトラ    へえ、でも、どうして車なの?別に夜景見たいんなら、電車で行ってもいいじゃない?

ナガミ   俺さ、運転するの好きなんだよ。

テトラ    あ、ナガミってさ、運転免許もってるの?

ナガミ   当たり前だろ。まだ取ったばっかりだけど。

テトラ    取ったばっかりにしてはうまいよね。

ナガミ   うん。俺、ガキの頃から車好きでさ、物心ついたころから、車のおもちゃで遊んでたらしいよ。

テトラ    へえ。

ナガミ   それにいつも助手席に乗って、親が運転するところ見てた。

            だから教習所に行って怪しまれたよ。「運転してたんじゃないの?」って。

テトラ    車のどこが好きなの?

ナガミ   なんていうのかな、自分で好きなところに行ける感じかな。

テトラ    へえ、でもいいじゃん。人間好きなものがあって、やりたいことがあるってのは。

ナガミ   …まあね。

テトラ    生きているうちにやりたいことやった方がいいよ。

ナガミ   それもそうだな…

 

            しばらく走った後、駐車場に入る。

            駐車場に車を止める。

            映像「夕暮れの森林公園駐車場」

 

ナガミ   ここなら、人いないからいいよな。

テトラ    降りる?

ナガミ   うん。

 

            晩夏の夕暮れ。

テトラとナガミ、景色を見る。

 

テトラ    ここから町が見えるんだ。(うれしそう)

ナガミ   うん、一人になりたいときに来る場所。

テトラ    お気に入りの場所に連れてきてくれたんだ。

ナガミ   まあ、一応。

テトラ    ありがと。

ナガミ   夏も終わりだからかな。ちょっと涼しくなってきたね。

テトラ    わかんない。感覚ないから。

ナガミ   そっか、悪かったな。

テトラ    ううん。そうやって言ってくれるから、思い出すところもある。

ナガミ   座ろうか?

テトラ    うん。

 

            ナガミベンチに座る。テトラも横に座る。

           

 

ナガミ   テトラ。

テトラ    何。

ナガミ   今日は俺から質問してもいいか?

テトラ    うん。

ナガミ   ずっと気になってたんだけど、どうして俺の事知ってんだ?

            前、同級生とか言ってたけど、お前学校にいたのか?

テトラ    …やっぱり私の事覚えてないよね。

ナガミ   ごめんな。

テトラ    ううん。1年生の時の球技大会、覚えてない?

ナガミ   球技大会?

テトラ    そう。あの時、バスケ、ナガミ出てたでしょ。

ナガミ   え…あ、うん。

テトラ    私先月病気で死んじゃったんだけど、2年前はまだ体育もできて、普通に体動いてたんだ。

それで高校入学して初めての球技大会で、バスケの試合に出たんだよ。

ナガミ   …(思い出す。かすかな記憶が…)

テトラ    その時の対戦相手が2年の先輩のチームで、私体当たりを受けて倒れたの。

明らかにファール。でも、審判は無視して試合を続けた。

多分同じ2年生だから、相手に遠慮してたんだよね。

でもその時、ナガミが言ってくれた。「ちょっと待て」って。

ナガミ   え、あ!あの時?

テトラ    思い出した?

ナガミ   思い出した。ずいぶん前だけど、そんなことあった、ような気がする。

テトラ    結局、審判の判定はくつがえらなかった。

けど、あの時のナガミかっこよかった。

相手が誰であっても、きちんと正しいことが言えるんだって。

ナガミ   まあ、目の前だったからね。

テトラ    私怖がりで、言いたいことがなかなか言えなかった。

だからナガミがうらやましかった。

私もああやって、正しいことをきちんと言える人になりたいって。

だからその時から、ナガミのこと追いかけてた。

学校でもすれ違ったりすると、目で追って。

同じ中学出身の友達にもナガミのこと聞いたりして。

ナガミ   へえ、全然気づかなかったよ。

テトラ    体育が得意なこと、空手習ってること、家が焼き肉屋やってることとか、

色々分かってきて。

ナガミ   それで俺の事知ってたのか。

テトラ    うん。じゃあ、次は私の番ね。ナガミ、運転免許見せてよ。

ナガミ   えっ。俺写真写り悪いし。

テトラ    いいじゃん。

 

            ナガミ、財布から運転免許証取りだして見せる。

            テトラ、手に取ってそれを見る。

 

テトラ    確かに、本物だ。(返す)

ナガミ   疑ってたのかよ。

テトラ    どうして高校生なのに持ってるの。学校に黙ってとったの?

ナガミ   ちゃんと許可受けてるよ。

テトラ    でも、高校って基本免許取るの禁止じゃん。

ナガミ   家の事情でとらせてもらったんだよ。親が頼み込んで。

テトラ    どういうこと?

ナガミ   俺の母さんさ、病気なんだよ。

テトラ    病気?どんな?

ナガミ   手がしびれる病気。うち今は違うけど、前は七輪で焼き肉屋やってたんだ。

テトラ    七輪って?

ナガミ   土でできたコンロのこと。それ運んだりするの重労働で。

で、手首痛めちゃって、そういう病気になったんだ。

テトラ    そうなんだ。

ナガミ    で俺が店手伝ったり、妹送り迎えしたり、遠くで一人暮らししているお祖母ちゃんに世話したりしなきゃいけないから、免許取らせてもらった。

テトラ    そうだったんだ…

ナガミ   まあ、今は七輪使ってないから、だいぶ楽になったんだけどね。

でも忙しいときは立ちっぱなしだし、焦げだらけの網洗ったりとか、きつい仕事はいっぱい残ってるんだ。

テトラ    大変だね、焼肉屋さん。

ナガミ   うん。それに服に匂いつくから子どもの頃はバカにされたりしてね。

テトラ    ナガミ、その子たち殴ってたんじゃない?

ナガミ   俺ってそんなに暴力的に見える?

テトラ    うそうそ、冗談だよ。

ナガミ   うちは親父が結構年だし。期待されてんだ、家の労働力として。

テトラ    ふーん、ナガミは焼肉屋さん好きなの?

ナガミ    まあ、好きだよ。そこでずっと育ってきたし、それに常連のお客さんたちにもかわいがってもらってきたし。

テトラ    焼肉屋さんって毎日おいしいもの食べれそう。

ナガミ    さすがに商売してると、肉は飽きるけどね。まあ、うちは冷麺とかサラダとか、サイドメニュー豊富だし、一度うちに来て…(ハッと気づく)そっか、幽霊って・・・

テトラ    …うん。生きてるうちにナガミのお店行きたかったな・・・

 

ベンチから立ち上がるテトラ

            街に向かって叫ぶ。

 

テトラ    焼肉食べたーい!

            カルビ、牛タン、ホルモン、食べたーい!

            ナガミんちで焼肉食べたーい!

            …ちょっとすっきりした。

ナガミ   テトラ。

テトラ    何?

ナガミ   お前質量再生タイプって言ってたよな。食えないのか、焼肉。

テトラ    うん。長時間は無理だからね。

ナガミ   そっか。

テトラ    でも、今度見せてよ。ナガミが食べてるところ。

ナガミ   いいのか?

テトラ    うん。私、生きてる頃から好きなんだ。誰かがおいしそうに何か食べてるとこ観るの。

ナガミ   そっか。

テトラ    ナガミ、一つお願いしていい?

ナガミ   何?

テトラ    今度さ、ドライブ連れってってよ。

 

3 8月26日 ドライブ

 

            音楽「マリーゴールド」あいみょん

            前奏で場転。

            ナガミとテトラ、車に乗り込み、運転。

            一緒に「マリーゴールド」を歌う。

            楽しい雰囲気。

目的の海岸に着いた。

 

ナガミ   着いたよ。

テトラ    うん。

 

音楽下がって、波の音上がる。

映像「砂利浜の海岸」

 

テトラ    (嬉しそうに)ここいいね。

ナガミ   だろ。

テトラ 青い空と海、緑の山。人工物何も見えないし。

ナガミ、よくこんなとこ知ってたね。

ナガミ   昔両親に連れてきてもらったからね。

テトラ    そっか。

 

            波と遊ぶテトラ。

            テトラを見るナガミ。

 

ナガミ   お前、濡れるぞ。

テトラ    ううん、幽霊だから大丈夫。

 

            今度はテトラ、砂利浜の石を持つ。

            テトラ石を海に投げて石切り。

            失敗したらしい。

 

テトラ    だめだ。ナガミやってみてよ。

ナガミ   え。

テトラ    石切り。やったことない?

ナガミ   どれどれ、久しぶりにやってみっか?

 

            テトラとナガミ石切りで遊ぶ。

            二人少し遊んだ後、椅子の所へ戻ってきて座る。

 

テトラ    二人座れるの用意してくれたんだ。

ナガミ   まあな。

テトラ    ありがとう。

            すごく久しぶりだな、海へ来るの。小学生の時以来かも。

ナガミ   そっか。

テトラ    本当に、こんな遠いところまで連れて来てくれてありがとう。

ナガミ   全然いいよ。運転の練習にもなるし。

            それより俺のとこばっかいていいのか?お前家族いるんだろ。

テトラ    うん。ナガミと会ってないときは、家族のとこにいることが多い。

            四十九日ってまあそういう意味だし。

ナガミ   家族はお前のこと、どう思ってんだ?

テトラ    めちゃくちゃ悲しんでる。なんか見てるの辛くって。

ナガミ   そっか…。大変だよな。子どもがいなくなっちゃうんだもんな。

でも、四十九日が終わると、どこ行くんだ?

テトラ    わかんない、天国に行くのか、地獄に行くのか、生まれ変わるのか。

別に幽霊になったからって、その先のこと誰も教えてくれるわけじゃないし。

ナガミ   じゃあ、自分が「質量再生タイプ」だってのは、どうしてわかったんだ?

テトラ    幽霊になったら、分かるべきことは分かるんだよ。

            なぜか、もう頭に入っている。「質量再生タイプ」だってことも、

それを使いすぎるとこの世界に長くいられなくなることも。

ナガミ   そういうもんなんだ。

テトラ    うん。まあ、結構エネルギー要るんだと思う。この世界にいるのって。

ナガミ   エネルギーか。今、それどのくらい残ってんの?

テトラ    わかんない。もう明日なくなるかもしれないし、明後日なくなるかもしれないし。

ナガミ   残念だな、いなくなるのって。

テトラ    そう言ってくれてありがとう。でもこれも運命だから。

ナガミ   あんま、無理すんなよ。

テトラ    うん。(嬉しそう)

ナガミ    (湿っぽくなったので明るい話題を振って)そういえばさ、テトラって、車の中で歌う曲「平成」っぽいのが多かったよな。椎名林檎の「ギプス」とか、斉藤和義の「歌うたいのバラード」とか。聞いたことあるけど、誰の曲か知らなかったよ。

テトラ    お母さんの影響かな。なんかそのあたりの年代の曲聞くと、安心するんだよね。

ナガミ   俺の母さんもなんかそういうの聞いてた気がする。

テトラ    ナガミが歌うのはZidolとR sound designの曲が多かったよね。あと米津玄師と。

ナガミ   うん。まあ都会的な感じがいいからね。

テトラ    でも、あいみょんは良く知ってたね。

ナガミ   知ってるも何も、あれは小6のとき、めちゃくちゃ流行ったからね。

            それくらいの頃覚えた曲って、なんかずっと覚えてない?

テトラ    分かる。

ナガミ    うちのオヤジなんてアラ還だから、西城秀樹の「ヤングマン」いまだに歌ってるもんね。仕事中に。

テトラ    何それ?

ナガミ    オヤジが小学6年生の時、めちゃくちゃ流行ってたみたい。自転車を手放し運転しながらやってたんだって、「Y、M、C、A」って。

テトラ    ふーん。

ナガミ   ところで、テトラんちのお父さんはいくつ?

テトラ    うちは46だよ。

ナガミ   若いよね。うちは今年58だからさ、腰が痛いとか言ってさ。

俺が貼ってやるの、腰に。バンテリン。

テトラ    そうなんだ。

ナガミ   テトラには兄弟いるの?

テトラ    うん、妹が一人。

ナガミ   仲良かった?

テトラ    (ちょっと考えて)ケンカばっかしてた。

ナガミ   どんなケンカ?

テトラ    例えば…、私が中学2年生の時、お母さんに妹の部屋を整理しろって言われたことがあったの。

ナガミ    それで?

テトラ    妹はさっさとお祖母ちゃんの家行っちゃって、部活動のある私だけ年末、家に取り残されたの。

それで掃除した時、妹が大切にしていた雑誌を捨てちゃって・・・

ナガミ   雑誌?

テトラ    うん。そしたら帰ってきてあいつ、めちゃくちゃ怒って。

それで私「大切なものを散らかしておくお前が悪い」って言ったんだけど、

もう大喧嘩になっちゃって。

ナガミ   それって、テトラにも少し悪いとこあるかもね。

テトラ    うん。今となっては断りもなく捨てて、悪かったと思う。

でもどその時は「フリマにも売ってるじゃん」とか、いろいろ言い訳して、結局死ぬまで謝らなかった…

ナガミ  

テトラ    私の妹ってさ、どこかロマンティックなところあってさ。

多分捨てられた雑誌も、「その雑誌」で無きゃダメだったんだよね。

今になって、そういう気持ちもあるのが分かった。

でももう入院しちゃったから一度も謝れなかった。

ナガミ   今から謝る訳にはいかないの?

テトラ    妹には霊感ないし。

ナガミ   手紙書いたら?

テトラ    え?

ナガミ   「質量再生タイプ」なんだろ。

テトラ    そっか。その手があったか。

ナガミ    俺とのドライブなんかにその力使ってないで、テトラの家族や後悔したことにエネルギー使ったらいいじゃん。

テトラ    うん。・・・でも、そう言われると寂しい。

ナガミ   え?

テトラ    ナガミとの時間も私の大切な、大切な時間だから。

ナガミ  

テトラ    私、戻ったら書いてみるよ、妹への手紙。

ナガミ   そっか。

テトラ    うん。

 

            暗転

            音楽:「君の夜をくれ」

            場転

 

          テトラの手紙

 

            音楽の流れる中、テトラが妹への手紙を書いている。

            しばらくするとシャーペンを落とす。

            質量再生が切れかけているようだ。

            しかし、テトラは手紙を書こうとするが、また落とす。

            また書こうとする。

            暗転

 

          ナガミの電話

 

            電話の呼び出し音

            ナガミが電話に出ると、そこにスポット

           

ナガミ   あ、もしもし。

         (観客には聞こえない)ナガミか、今電話いいか?

ナガミ   うん。大丈夫。

         今どこにいる?

ナガミ   おばあちゃんのとこ。

         そっか、今なあ、お母さん、胸抑えて倒れちゃったんだ。

ナガミ   え、母さんがまた倒れたの?

         うん、たぶん狭心症の発作だと思う。

ナガミ   それで?薬は飲んでたの?

         うん。薬飲ませた後、救急車呼んで待ってるとこ。

            俺が病院についていかないといけないんだ。

ナガミ   うん。

         戻ってこれるか?

ナガミ   うん、分かった。すぐ戻るよ。

         まあ落ち着いて、気をつけてな。

ナガミ   うん。大丈夫。

         じゃ、散らかってるけど、店よろしくな。

ナガミ   分かった。

            (下手袖を向いて)ばあちゃん、ばあちゃん。俺、すぐ家に戻らなきゃいけなくなったから。

 

            場転

 

6 8月27日深夜 焼肉店三矢

 

            映像「閉店している焼肉屋」

深夜の三矢焼肉店

            大きな石焼きビビンバどんぶりとスープ。

ナガミは食べているが、テトラは食べていない。

            ナガミが食べる姿を、テトラが見ている。

 

テトラ    大変だったね。

ナガミ   うん。(食べながら)

テトラ    突然倒れたから、お店そのままだったもんね。

ナガミ   まあ、片付けといたから、明日は開店できるだろ。

テトラ    うん。

ナガミ   あんまり店休むわけにいかないしな。

テトラ    お母さん大丈夫なの。

ナガミ   うん、とりあえず、親父が付き添ってるから。

テトラ    倒れたのって、何回目?

ナガミ   2回目。最初倒れたときははめちゃくちゃびっくりしたけど、薬を飲むと発作が収まっていくから大丈夫。

テトラ    でも心配だよね。

ナガミ   うん。

 

           

 

テトラ    (重い雰囲気に、少し話題を変えて)これ、ナガミがつくったの?

ナガミ   まあな。石鍋焼いて、盛り付けただけだけどな。

テトラ    すごくおいしそう。

ナガミ   まあ、ビビンバの材料はいつもストックしてあるからな。

            でも、こっちのスープはさっき俺が作った。

テトラ    ナガミって料理上手だね。

ナガミ   まあ、親が焼き肉屋だからね。

テトラ    お客さんの分も調理するの?

ナガミ   ううん、さすがに調理師免許ないからそれは。

でも「まかない(賄)」なら大抵作れる。

テトラ    どんなの?

ナガミ   ビビンバ、クッパ、チヂミ、冷麺、サラダとか。

テトラ    へえ。

ナガミ   あと、ホールよく入るから、肉の名前は全部覚えてるよ。

            ウシの頭の方から、タン、ツラミ、ネック、ネクタイ、ウルテだろ。

テトラ    すごいな。じゃあ、肩から言える?

ナガミ   ええっ?うーん、ミスジ、ウワミスジ、肩サンカク、トンビ、サブトン、肩芯、サンカクバラ!

テトラ    すごーい!じゃあ、じゃあ背中からは?

ナガミ   え、背中・・・リブロース芯、リブキャップ、マキ、サーロイン、ヒレ、シャトーブリアン!・・・ちょっと、遊んでない?

テトラ    冗談、冗談。でもナガミ、すごいよね。

ナガミ   まあ、叩き込まれてきたからね。

 

            ナガミ、しばらく食べ続ける。

            それを見続けるテトラ。

 

テトラ    ナガミ。

ナガミ   ん?

テトラ    …食べれるって、本当に幸せだよね。

ナガミ   どうして?

テトラ    ナガミは、当たり前だと思っているかもしれないけど、食べれるって本当に幸せなんだよ。

ナガミ  

テトラ    聴いてくれる?私の病気の話。

ナガミ   うん。

 

            ナガミ、食べるのをやめる。

 

テトラ    私、病気がひどくなってから、ほとんどの期間入院してたって、前言ったよね。

ナガミ   うん。

テトラ    ずっと思ってた。自由に好きなものを食べたいって…

ナガミ   食べれなかったのか?

テトラ    うん。

            私の病気はさ「自己免疫疾患」って言って、免疫細胞が自分の体を攻撃する病気だったんだよ。

ナガミ   「自己免疫疾患」

テトラ    うん、ナガミ「好酸球」って分かる?

ナガミ   こうさんきゅう?

テトラ    白血球の一種。その好酸球が体の中で増えすぎて、自分の臓器を傷つけるっていう病気。

病気が分かったころは、90%の人が治ります、って言われてたんだよ。お医者さんから。

でも、私残りの10%の方に入っちゃったみたいで重症化して。

それでとうとう消化管から出血して、何も食べられない状態になっちゃったんだ。

ナガミ  

テトラ    ずっと、点滴だったんだよ。(つとめて平静に)

もう針を刺せる場所がないくらい、点滴や薬を打ってて。

熱が出ると起き上がれなくて、頭がぼーっと時間だけが過ぎていった。

            ちょっと調子がよくなると、とにかく何かを食べたくて食べたくてさ。

だからよく絵を描いてた。

ナガミ   どんな?

テトラ    食べ物の絵。サラダとか、ハンバーグとか、スパゲッティとか、焼き魚とか、チョコレートとか、ポテトチップスとか。

ナガミ  

テトラ    生姜焼きとか、唐揚げとか、パンとか、ごはんとか、シチューとか、カレーとか、リンゴとか…

 

            テトラ、声にならない。

 

テトラ    食べたかったなあ。だから、誰かが食べてるのを見てるだけで幸せなんだ。

ナガミ   そっか…こうやって食べれるだけで幸せなんだな。

テトラ    そう。それを分かってほしくて。ごめんね、食事中にこんな話しちゃって。

ナガミ   いいよ。全然。

テトラ    うん。それで妹にね、何かおいしいもの食べたら、食べてるところの動画送って、って言ってた。

動画を見てるだけで幸せだからって。だから、今、ナガミが食べるところ見てた。

ナガミ   そっか…

テトラ    私、元気だったら、大学で演劇学びたかったんだ。

ナガミ   演劇?

テトラ    そう。一生懸命勉強して、大学入って、先生や仲間からもたくさん学んで、

仲間と公演して、大勢の人に観てもらいたかったんだ。

どんな役でもいい、少しでもセリフもらって、誰かの人生を生きるの。

とにかく劇の中で生きたかった。

ナガミ  

テトラ    その夢は叶わなかったけど。

ナガミ  

テトラ    ナガミ、一つだけお願いしてもいい。

ナガミ   お願い?

テトラ    そう。

ナガミ   何?

テトラ    ナガミには、ナガミ自身の人生を生きてほしい。

ナガミ  

テトラ    前話してくれたよね。東京に住んで、夜景の中で車を走りたいって。

ナガミ   でも…

テトラ    ナガミがこの家の面倒を見なきゃいけないっていう気持ちなのは分かってる。

でも、それって本当にナガミの夢?違うんじゃないの?

ナガミ   それは…

テトラ    ナガミ、本当にそれでいいの?

ナガミ   …俺が都会に住みたいっていうのはさ、言ってみただけなんだよ。

そんなのただの我儘なんだよ。そんなの夢、誰も理解できないだろ!

テトラ    ナガミ…

ナガミ   家族だって、誰も理解してくれないよ。我儘なんだよ。俺の。

とにかく、俺がこの家を継げば丸く収まんだよ。

親父だって、母さんだって内心はそう思ってるだろうし、だから…

テトラ    それって違うんじゃないの?

ナガミ   え?

テトラ    「子どもは3歳までに、一生分の親孝行する」って話、聴いたことない。

ナガミ   うん。

テトラ    私はお母さんに言われた。病気で入院しているとき。

ナガミ  

テトラ    私はその言葉に救われた。

お父さんもお母さんも、本気でそう思ってるって気づいた。

だから、きっとナガミのお父さんとお母さんもそう思ってるんじゃないかな?

ナガミ   …そうかな…

テトラ    私の夢はかなわなかった。でもナガミには命がある。

だからナガミには自分の夢をかなえてほしい…

 

            テトラ、ナガミのスマホを机からそっと取り上げる。

 

テトラ    ナガミ

ナガミ  

テトラ    開いて(携帯を渡す)

 

            ナガミ、指紋認証で携帯を開き、テトラがそれを奪う。

            テトラ、「帝国少女」を流す。

            曲が流れる中、テトラが去っていく。。

  暗転、場転。

 

7 7年後、東京、夜

 

            照明明るくなると、ナガミが車のそばでスマホを触って、お客さんを待っている。

            そこへ、お客さん(四宮ミハラ)がやってくる。

 

ミハラ    三矢さん、ですか?

ナガミ   はい。

ミハラ    私、ライドシェアを頼んでいた宮田です。

 

            ナガミ、ミハラの顔を見て、驚く。

 

ナガミ   宮田さん?

ミハラ    はい、宮田です。

ナガミ   え?

ミハラ    どうかされましたか?

ナガミ   いえ、知り合いに似ていたもので。

ミハラ    実は私、四宮テトラの妹で、宮田ミハラと申します。

ナガミ   えっ!

ミハラ    三矢さん、ずっとお会いしたかったです。

ナガミ   …テトラの妹さん?

ミハラ    はい。今は苗字が四宮から宮田に変わっていますが。

ナガミ   でもどうして?

ミハラ    (笑う)とりあえず、車に乗せてもらえませんか?

ナガミ   はい、こちらへどうぞ。(後部座席のドアを開けてる)

ミハラ    あの・・・助手席に、座って構いませんか?

ナガミ   え?あ、どうぞ。

 

            二人車に乗り込む。

 

ナガミ   どちらまで?

ミハラ    そうですね・・・あの、三矢さんは、東京は長いんですか。

ナガミ   はい、もう6年になります。

ミハラ    ビルの夜景がきれいに見える場所をご存じですか?

ナガミ   …はい。

ミハラ    そこまでお願いします。

ナガミ   分かりました。

 

            ナガミ、車を発進させる。

 

ナガミ   でも驚きました。あのテトラさんの妹さんとお会いできるなんて。

ミハラ    偶然だと思います?

ナガミ   どうして、僕がこの仕事をしていると分かったんですか?

ミハラ    姉に教えてもらいました。

ナガミ   え?テトラさんに。(驚く)

ミハラ    姉が7年前に亡くなったのはご存じですよね。

ナガミ   はい。

ミハラ    その姉が私の前に現れたんです。幽霊になって。

ナガミ   あなたにも、テトラさんが見えたんですか?

ミハラ    はい。去年のお盆から、突然見えるようになって・・・

            姉は言っていました。

            生きている間も、幽霊になってからも、ナガミさんのお世話になったって。

ナガミ   あのテトラさんが?

ミハラ    はい、いろいろドライブに連れて行ってもらったって言ってました。

そして車の中で、たくさん歌ったって。

ナガミ   そうですか…

ミハラ    そして、私に謝ってました。昔、大切にしていた雑誌を捨ててしまったこと。

ナガミさんに謝ってこいって言われたって。(笑)

ナガミ   そんなこと言ってましたか?でも懐かしいな。

実は僕がこの仕事をしているのも、テトラさんが言ってくれたおかげなんですよ。

「自分の人生を生きてほしい」って…

ミハラ    そうですか…。姉は病気で自分のやりたいことができませんでしたからね…

ナガミ   そうですね…

 

            ナガミ、しばらく、車を走らせる。

            やがて、夜景のきれいなスポットに着いて、

車を止める。

 

ナガミ   ここです。

 

            ナガミが車を止めて降りる。

            ミハラのドアを開けて、ミハラが下りる。      

            後ろに都会のビル群の光景が映る。

 

ミハラ    わっ

ナガミ   ね、いいでしょう?

            僕は東京で、ここが一番好きなんです。

 

            ナガミ、ビル群の光景を眺める。

            ミハラはテトラになる。

 

テトラ    ナガミ!

ナガミ  

テトラ    これが、ナガミが見たかった景色なんだね。

ナガミ   宮田さん?・・・テトラ?

テトラ    テトラだと思う?

ナガミ   テトラ・・・

テトラ    ナガミ、この曲!

 

            テトラ、スマホをオンにすると、「ダリアマリア」が流れる。

            ナガミ、曲を聞かされて驚く。

            テトラ、7年前コンビニでやったように、両手を差し出す。

            ナガミ、恐る恐る両手を重ねる。

            テトラはそこにいた。

            二人、見つめ合って、音楽流れて幕。

           

 

※この脚本を潤色するに当たっては、2024年11月に20歳でお亡くなりになった、仁平美月(にへいみつき)さんのXやnoteの闘病記録を参考にさせていただきました。芸術文化観光専門職大学の学生だった仁平美月さんの生きた証とメッセージを、少しでも劇を見る人に感じていただけたら幸いです。

※ト書きの指示にある写真は、自分やフリーサイトなどから撮ったものを、パワーポイントに入れ、ホリゾント幕にプロジェクターで写して表現しました。脚本にも書いてありましたが、ネット掲載に当たって抜いています。