三重高校演劇部の脚本の決め方　2014年9月

　7月下旬に地区大会が行われる場合
①　既成脚本の決定
・1年生の入部が固まり、舞台創造講習会の終わった4月下旬にミーティングを行う。
・まず部員数から4を引いた数を役者に出れる人数として、男女比も考えて既成脚本を探す。
・４という数字は、「演出」「舞監」「音響」「照明」。
・読んだら忘れないように書き留めておく。
・既成脚本は、コピーしたら、ファイルに入れて人数別に区分けしておく。（2度同じ脚本をコピーする無駄を省く）
・既成脚本を全員で読む作業は、1年生の脚本の良しあしを判断させる能力を養う役割も果たす。

②　創作脚本の作成
・部員数から4を引いた数を上限として、そのメンバーでできる劇の、登場人物とプロットを描いたものを全員が持ち寄る。
・既成脚本から派生した雑談なども、創作を作るよいネタとなる。
・伸びそうなプロットが得られたら、責任者を決めて箱書きを行う。
・箱書きとは、三重県演劇連盟の舞台創造講習会の先生（井口時次郎先生）から習ったもので、起承転結を作り、起の中で起承転結、承の中で起承転結…と4×4＝16個の箱を書いて、あらすじを書くというもの。
・さらに登場人物の相関表を書く。この時点で登場人物の名前を考えておく。（名は体を表すので、気合を入れて命名する）
・箱の区切りは登場人物の出入りとする。これは平田オリザ先生から習ったもの。（平田先生の本にあるように、「演劇ではいない人のことをその場にいる人が会話する」という原則に従うと、箱を埋めやすい）
・箱には伏線を張っていく。起で主要登場人物とメインの事件が分かるようにする。キャラクターを強力にすると、勝手に動き出して、しゃべり出して、ストーリーを作っていくので、キャラクターが大事。（これは劇画の原作者小池一夫先生の教え。小池先生は「子連れ狼」を例にとって、主人公に必ず弱点をつけよ、という。）
・箱１つ１つにはすべて「ドラマ（葛藤）」があるようにする。
・葛藤とは「イラ（思うようにことが進まなくていらいらすること）」と「マヨ（どちらを取るか、選択に迷うこと）」がある。（これはドラマのシナリオを描くための本から学んだ）
・16個の箱のどの場面でも役者が輝くポイントがあるのがよい脚本である。
・箱が書けたら、生徒のうちの1名が、「第1稿」を書く。
・その間に役者の生徒は、登場人物のキャラクターを確立させ、基礎練にプラスしエチュードなどを行っておく。
・「第1稿」が「幕」まで書けたら、いろんな人に読んでもらい批評をもらう。そしえ、次の人が第2稿を書く。
・この時にはデジタル情報にしておく。またこの時くらいに「タイトル」を確定しておく。
・練習が始まったら、今度は演出がどんどん書き換える。書き換えたものがたまったら、それをデジタル情報に直して第3稿を作る。
・ゲネ、地区大会が終わり、いろんな人の意見をもらったら、そこでまた第4稿を作る。

※集まるメンバーの個性や、いろんな条件により、①か②を使い分けていく。①、②とも苦しくてあまり面白くない作業だが、ここを乗り切れるかがポイントである。