実践的音響講座 2020728

                                

1 上演が決まったら

 脚本を読みます。そして脚本の中に音のイメージを書き込みます。

 みんなでも読みますし、一人でも読みます。

 書き込む音はSEBGM、ジングルの3つです。

 

 音響係になったら、4つの道具は必須です。

 「パソコン」「LANケーブル」「USBメモリー」「イヤホン」

 

2 音響が知っておく用語について

 SESound Effct 音響効果(効果音)のことです。

  ドアの扉の開く音、学校のチャイム、携帯電話のバイブ音など、セミの声など。脚本に指定されていることもあります。とりあえずいりそうなところはすべてパソコンにmp3で入れておいて、演出が欲しいと言ったら「これどう?」と出せるのが理想です。

 BGMBackGroundMusicです。いわゆる曲。歌詞のある曲、有名な曲はふつう使いません。歌詞のない曲で、ピアノ曲や外国人が歌っている曲などが使いやすいです。

 ブリッジ:暗転やブルー転の時に、つなぎに入れる音楽です。暗転などの時間を心理的に短くしたりする効

  果があります。

 ジングル: テレビやラジオなどの音声・映像メディア全般で、場面の切り替わりなどを分かりやすく伝えるために再生される短い曲のことです。YouTubeなどでは、次の話題に行くときなどに切り替えのためによく入れられています。

 カットイン:いきなり大きな音響でBGMが入ること。逆がカットアウト。

 フェードイン:ゆっくり静かにBGMが入ってくること。逆がフェードアウト。

 

3 音を探して録音する。

 音はフリー音源から探します。

 高校演劇でフリー音源を使う場合は、「音響係の先生にフリー素材の使用規約」「フリー素材の音源の詳しい情報」が必要です。

 音響ノートを作ってメモしておくか、ファイル名を工夫するとよいでしょう。

 例) 魔王魂ピアノ38「うつろな一時」

 

4 よく使うフリーの音楽サイト

 現在の演劇部の練習場所の並行教室はLANが使えません。したがって2階生物室を顧問に開けてもらいそこでLANを使い音源をダウンロードします。

 ・「魔王魂」: BGMが豊富。「フリーBGMピアノ素材」は演劇だけでなくYouTubeや自主製作映画でも 

 よく使われている。BGMの世界の「いらすとや」的なサイト

 ・「効果音ラボ」: 業務用効果音の音質。音響のプロの現場でも使われているサイト。

 ・「小森平(こもりたいら)」: 無料効果音でよく使うサイト

 ・「効果音辞典」: 前述の「効果音ラボ」が運営しているサイト?音質もよい。

 ・「くらげ工匠」: 効果音豊富。例えば銃器の発射音だけで5種類ある。

 ・「DOVA-SYNDROME」: BGMなど豊富。

 ほかにも「甘茶の音楽工房」「VSQ」など。

Googleで「フリー BGM」「フリー 効果音」などで検索するとたくさん出てくる。

 

5 音を探す方法

 「悲しみ BGM フリー」などで検索すると、悲しいイメージの曲がたくさん出てくる。

 どれだけ場面にあった日本語を発見できるかが勝負。

 

6 BGMの選び方

 劇のイメージに合うBGMを見つけるのは難しいです。

 まず有名な曲、日本語の歌詞のある曲は避けましょう。

 例えばいきなり あいみょん「マリーゴールド」とか流れたら、劇は台無しでしょう、普通。

 ただし意図があれば別です。以前やった劇では全曲「ザ・ブルーハーツ」で統一しました。

 著作権のある曲はCDを演劇大会の前の打ち合わせで提示すれば、高校演劇は無料で使用できます。

 Amazonなどで買った場合は、領収書が必要です。領収書を写メって、顧問にLINEで送ってください。上演前の打ち合わせでそれを提示しないといけません。(違法ダウンロードではないことを証明するため)

 

7 音の編集・加工

 音は私が買って、演劇部のパソコン2台に入れた、「Sound forge Audio Studio10」で行います。

 ソフトの使い方は、以下の動画を見てください。

https://www.youtube.com/watch?v=45h0jnD5T1E

 よくやることは「音を切る」「音を短くする」「音をつないで長くする」「音をイコライザーを使って加工する」などです。シーンとして30秒必要なら、その倍の60秒は取っておきます。なぜなら演劇は「暗転したが役者がトラブルで出てこない」「セリフが出てこない」などのアクシデントがあるからです。

 編集はmp3で行いますが、最後の保存は「wavファイル」で行います。

 wavとは、「WAVまたはWAVE(ウェイヴ、ウェヴ、ワヴ) (RIFF waveform Audio Format) は、マイクロソフトIBMにより開発された音声データ記述のためのフォーマットである。RIFFの一種。主としてWindowsで使われるファイル形式である。ファイルに格納した場合の拡張子は、.wav。」です。

 最終的に三重高校の音響効果はサンプラー「SP404SX」で送出しますので、wavファイルしか使えません。

 

6 音をサンプラーで出す

 演劇部は音をサンプラー「SP404X」用にフォーマットしたSDカードに入れます。

 詳しくは以下のマニュアルを見てください。「SP404SX取扱説明書」

https://www.roland.com/jp/support/by_product/sp-404sx/owners_manuals/ec04c4f7-b07b-4341-91ae-f1a2fbdd3388/

 

7 生音を撮る。

 どうしてもない効果音は生音を撮るしかありません。

 以前やったのは、「文化祭の合間に、生徒たちがブルーハーツの曲を合唱する音」とか、「空き巣がおばあちゃんの家の鍵をガチャガチャ回す音」など。

 ボイスレコーダーでmp3形式で録音して、加工ソフトで加工すればOKです。

 

 

8 音を送出する

 三重高校演劇部にはフェーダー付きのミキサーと、アンプ、SP404SX、スピーカーがありますので、本番と同じとは言えませんが、かなり近い練習ができます。

 場の立ち稽古や通し稽古には必ず機材をセッティングしたうえで、音響を合わせます。

 音響は演劇に大きな影響を与えるので、できるだけ稽古が進む前に準備します。

 最後まで油断と妥協はいけません。演出に「もう一秒だけ頭を切って」とか、「違うイメージの爆発音ない?」などと言われます。その時「ムッとせずに」「落ち着いて」対処できるかが大事です。

 演出の言うことばかり聞いていてもだめです。

 「探して加工するのに時間かかるから、本番までに無理」とか、きちんと断ることもできるようになりましょう。

 音響と照明は「発注される」側の仕事なので、演出の「無理難題」に振り回され腹が立つこともありますが、ストレスをためずに、言うべきことはきちんと言って対応しましょう。演劇をつくる一員は「誰が偉い」わけでもありません。

 音の送出の3要素は「音の中身」「タイミング」「大きさ」です。

 またスピーカーは、「ステージスピーカー」と「カラムスピーカー」があるので注意。

 高校演劇では「カラム」のフェーダーは、「カラムとステージ」の両方から音が出ます。

 「ステージ」のフェーダーからは「ステージ」だけから音が出ます。左右も分かれています。

 セリフ被りのBGMや効果音は要注意です。

 ふつうはセリフが聞こえるように下げます。

 

 以上で音響講座を終わります。