間違わない照明卓操作
2005・8・19
照明Qシートの作成
- あまりコロコロ変わる照明はよくない。照明は目立たず、ここぞというところに利かせるのがコツ。時間経過(だんだん夕景になっていく、など)も観客に意識されないほど、ゆっくりやること。観客が「あ、今変わった」と思っては失敗。「あれ、劇に集中してたらいつのまにかこんな色になってたの」なら成功。(こういうフェードをスーパーフェードという)
- 具象の照明か、抽象の照明か、をはっきり意識せよ。
- ホリゾントは難しい。ちょっとしたフェーダーのズレで、違う色になるし、それを素人が本番で修正すると余計変な色になる。大黒幕が基本と心得よ。
照明卓操作の練習
- ベニヤで卓の模型を作る。地区大会などで使う会館で写真を撮り、寸法を測り、そっくり同じサイズで作る。
- フェーダーは画鋲の針をペンチで曲げたものを使う。
- Qシートにフェーダー番号をつけるときの基本は、1→2→3→1・・・とする。
もちろん、何度も同じ照明に戻すときには、1→2→1→2・・・でもよい。
- 前明かりを入れるのはA−Bクロスで入れると間違いない。
つまり素人が何本もフェーダーを持って同じ位置まで動かすのは難しい。
会館のスタッフさんによっては、前明かりのみのフェーダーを1本にまとめてくれるところもあるので、
それがあると分かっているなら使うのもよい)
- 各フェーダー番号は3色マーカーでQシートに色分けしておく。
- たとえば、A1→B2→A3→B1・・・と操作していくとき(A、BはもちろんA―Bクロスのこと)、
スイッチの操作の手順を備考欄に書いておくとよい。
たとえばA1の備考欄にA1→3と書いておく。B2の備考欄にB2→1と書いておく。
- 通し稽古を見ながら、何度も練習せよ。(これを場当たり、という)
最初の客電を消して、前明かりを入れるところから気を抜かないこと。
- A−Bクロスのフェーダー操作のタイミングが命。カットインに近いのか、どのくらいの速さでど
この場面でフェードアウトなのか。劇をよく理解している人に後ろで見てもらいながら、何度も場当たり稽古せよ。
リハーサル
- リハでは照明と劇をよく理解した人間(演出、先輩など)が音響席のインカム(ガナリでは効率が悪く、高校演劇の30分のリハでは十分な照明の確認ができない、一方音響はインカムなしでリハできる)をする。そしてQ1から終りまで照明を操作してもらい、その場で直したい場所を照明さんに指示する。「シーリングの64番60%から40%に下げてみて」とか「サスのホワイト80%から60%にしてみて」とか。それでよければ「OK、メモって」と言って確定する。
- 場当たりよりも照明の確定が優先。リハではやはり場当たりをしたいので、できるだけ早く照明を確定するのが大事。
- リハで実際のフェーダーの位置が練習用模型と異なっていたら、次の学校のリハの時に、その順番を写させてもらえ。そしてその順番を学校に帰ってから模型に再現し、必ず稽古せよ。
実際の操作のポイント
- 小学校の給食の食べ方で「三角食べ」というのがあった。パン→牛乳→おかず→パン→・・・という順に食べなさい、というもの。照明卓操作にはこれが役に立つ。
A−Bクロス操作→終わったフェーダーの組み換え→スイッチの切り替え→A−Bクロス操作・・・
つまり卓によって異なるが、手が三角形を描きながら動いていく。多気町民文化会館の卓なら時計回りに、鈴鹿市民会館なら反時計回りに。
- 問題はQが近くて、フェーダーの組み換えをする時間がない箇所。そこでは1回フェーダーの段の組み換えを飛ばした後、次のA−Bクロスが終わったあと、2つの段のフェーダーを組み替える。
- それで操作できないような照明は、工夫で乗り切る。
- 照明は最初が間違いやすい。特にスイッチをよく忘れてしまう。「A−Bクロスよし、フェーダーよし、スイッチよし」と3箇所の指差し確認をしよう。
- 舞台監督ほかもそのことをよく知っておこう。2ベル前に「照明さんよろしいですか?」とインカムで言うと、思わず「はい」って言ってしまやすいので、「照明さん、A−BクロスOKですか?」「フェーダーOKですか?」「スイッチOKですか?」と聞いてそれぞれにOKを取れば間違いない。
- 舞台を見て、自分の照明が合っているかどうか必ず確認すること。そして修正は観客に間違いを悟られるぬよう行うこと。
- 異常に気づいたら、舞台監督や音響はすぐにインカムで照明さんに連絡すること。